令和8年度税制改正に伴うインボイス制度に関する設定変更手順

概要

2025年12月に公表された「令和8年度税制改正大綱」により、インボイス制度における免税事業者等からの課税仕入れに係る経過措置(仕入税額控除)の控除割合について、当初予定されていた一律50%への引き下げから、2026年10月1日以降は「70%控除」へ段階的に移行する緩和措置が講じられることとなりました。

そのため、「楽楽精算」から出力する仕訳データの出力形式を、お使いの会計ソフト側の新しい受入仕様(新しい税区分コードなど)に合わせて修正・更新する必要があります

本記事では、過去のインボイス制度導入時にお客様の環境において設定された「適格請求書発行事業者との取引判別方法」の3つのパターン(A~C)に沿って、今回の改正で必要となる具体的な設定変更手順と設定例を説明します。

令和8年度税制改正大綱の概要については、令和8年度税制改正大綱 インボイス制度など「楽楽精算」の設定への影響をご確認ください。

 

1.会計ソフトの対応方針を確認(必須)

まずはお使いの会計ソフトの提供元へ、今回の改正に伴う対応方針(新しい税区分コードが追加されるのかなど)を必ずご確認ください
会計ソフト側の受入仕様が確定していない場合、「楽楽精算」の設定を変更することができません。

2.「楽楽精算」の設定パターンを確認

まずは、現在「楽楽精算」から出力している仕訳データが、どの設定パターンで適格請求書発行事業者との取引と判別しているかをご確認ください。設定パターンによって変更箇所が異なります。

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設定パターン 「楽楽精算」の設定内容 主な変更内容
A:税区分コードごとに交通機関/内訳マスタを登録して判別する 申請者が選択する「交通機関マスタ」「内訳マスタ」を税区分コードごとに用意し、各マスタに「税区分マスタ」を紐づけている場合。 会計ソフトの税区分コードに合わせて、改正後の経過措置用の「税区分マスタ」と「交通機関マスタ」「内訳マスタ」を登録・変更します。
B:仕訳の計算式により自動判別する 「仕訳データ出力の設定」の計算式にて、事業者登録番号の有無や仕訳日をもとに税区分コードを自動で出し分ける設定を行っている場合。 「仕訳データの出力設定」にて、計算式の出力値を改正後の経過措置用(70%など)の税区分コードへ切り替える修正を行います。
また、「仕訳日」などの日付条件を参照して経過措置用の税区分コードを出し分けている場合は、日付条件の修正も必要です。
C:適格請求書発行事業者との取引かのフラグ情報により判別する 「適格請求書発行事業者」か否かのチェックボックスなどのフラグ情報のみで判別・出力している場合。 経過措置の割合ごとの税区分コードの出し分けが不要な場合、原則として「楽楽精算」側の設定変更は不要の想定です。

注意

設定変更が不要なケース 
会計ソフトにて税区分コードによって消費税額を集計していても、経過措置の割合(80%・70%など)ごとにはコードが分かれておらず、一律「免税」というコード情報のみで会計ソフト側で消費税額を集計できる場合は、「楽楽精算」側の対応は不要です。

【例:出し分けが不要な会計ソフトの税コードイメージ】 
・101 課税対仕入
・102 課税対仕入※軽
・103 課税対仕入 免税 (※経過措置の割合に関わらず共通のコード)
・104 課税対仕入※軽 免税

補足

推奨される設定反映タイミング
設定の変更は、2026年9月分(法改正前)の経費精算および仕訳データの出力がすべて完了したタイミングで行うことを推奨します。

前月分の経理処理が残っている状態で新しい設定を反映した場合、過去の仕訳データに影響が出る可能性があります。貴社の締め処理スケジュールに合わせて、設定変更のタイミングを事前にご検討ください。

 

3.設定変更

パターンA:税区分コードごとに交通機関/内訳マスタを登録して判別している場合

会計ソフトの税区分コードに合わせて、改正後の経過措置用の「税区分マスタ」と「交通機関マスタ」「内訳マスタ」を登録・変更します。

「税区分マスタ」登録イメージ

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1:適格請求書発行事業者からの仕入れの際に利用する税区分
2:免税事業者などからの仕入れで経過措置80%の際に利用する税区分
3:免税事業者などからの仕入れで経過措置70%の際に利用する税区分
4:免税事業者などからの仕入れで経過措置50%の際に利用する税区分
5:免税事業者などからの仕入れで経過措置30%の際に利用する税区分
6:免税事業者などからの仕入れの際に利用する税区分

「交通機関マスタ」登録イメージ

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設定変更の手順

  1. 「管理」タブ > 「税区分マスタ」をクリック

  2. 「税区分マスタ」画面左上の「新規登録」ボタンをクリック

  3. 会計ソフト側で新規追加される税区分に合わせた「税区分マスタ」を新規登録
    【例】課税対仕入10% 経過70 など
  4. 「保存」ボタンをクリック

  5. 「管理」タブ > 「交通機関マスタ」または「内訳マスタ」をクリック

  6. 「交通機関マスタ」「内訳マスタ」を新規登録または更新し、先ほど登録した「税区分マスタ」を紐づけ

  7. 「保存」ボタンをクリック

≪完了≫

注意

「税区分コード」の上書きについて
すでに登録済みの「税区分マスタ」の「税区分コード」は、上書き更新することができません。会計ソフト側で税区分コードが新設される場合は、「新規登録」より追加を行ってください。

「会計連携項目」を利用している場合
「税区分コード」ではなく、各マスタの「会計連携項目」の値を仕訳データに出力している場合は、該当する「会計連携項目」の値を新しい経過措置用のコードへ上書き修正してください。

 

パターンB:仕訳の計算式により自動判別している場合

「仕訳データの出力設定」にて、計算式の出力値を改正後の経過措置用(70%など)の税区分コードへ切り替える修正を行います。また、「仕訳日」などの日付条件を参照して経過措置用の税区分コードを出し分けている場合は、日付条件の修正も必要です。

設定変更の手順

  1. 「管理」タブ >「仕訳データ出力の設定」をクリック

  2. 該当設定の「編集」ボタンをクリック

  3. 「ファイルを追加する」の「コピーして追加」ボタンをクリックし、検証用のフォーマット(別ファイル)を新しく作成
    ※現在の設定をベースに修正を加えたい場合は、上記の「コピーして追加」からファイルを作成するのがおすすめです。

  4. 新しく追加したファイルの編集画面にて、「出力項目」の税区分コードの出力部分に配置された計算式の「設定」ボタンをクリック

  5. 「計算式の設定」にて、仕訳日で経過措置の分岐をしている場合は、日付と出力される税区分コードを経過措置期間に合わせて計算式を変更
    【例】税区分コードがAの場合、2026年10月1日以降は70%用コードとする
  6. 「計算式の設定」の「確定」ボタンをクリック

  7. 「仕訳データ出力の設定」の「確定」ボタンをクリック

≪完了≫

上記の設定を行うことで、設定した計算式の計算結果にしたがって、適切な税区分コードを出力することができます。

注意

検証前に本番設定を上書きしないようご注意ください
既存の計算式を直接変更すると、保存した直後から仕訳データ出力結果へ反映されます。
改正後の設定を行う際は、必ず本番ファイルを「コピーして追加」して検証用のフォーマットを作成し、想定通りにデータが出力されるかテスト(出力検証)を行ってから本番運用へ切り替えてください。

補足

改正後の新しい設定へ切り替え後、古い「ファイル」の設定内容で出力済みの仕訳データが不要になりましたら、元の「ファイル」は削除して問題ございません。

 

ファイル数の上限に達して検証用の計算式を作成できない場合

「仕訳データ出力の設定」のファイル登録数の上限は4つです。
上限に達してファイル追加ができない場合は、以下をご確認ください。

  • 「標準設定」のみを利用している場合:
    「仕訳データ出力の設定」にて「標準設定」のみを利用している場合、「個別設定」にて検証用のフォーマットを作成することができます。
    【例】「個別設定」>「計上仕訳」を普段設定していない場合、そちらを検証の枠として利用します。詳細は、会計ソフトの変更/仕訳設定の追加・変更 ②設定変更の手順 > 設定変更方法を決定(設定変更方法 確認フローチャート) をご確認ください。

  • 「個別設定」も利用している場合:
    「個別設定」もファイル数の上限に達しているなどの理由で検証用のフォーマットを新規追加できない場合は、サポートセンターまでお問い合わせください。

検証準備が整いましたら、以下の設定例(計算式パターン①・②)を参考に、ご自身の環境に合わせた計算式の修正を実施してください。

計算式パターン①:事業者登録番号の有無による分岐設定

【実際の計算式イメージ】

IF 仕訳データ.事業者登録番号 = “” THEN
 IF 仕訳データ.借方:税区分コード = “交通機関マスタなどに紐づく税区分コード” THEN
  “変更後の経過措置用の税区分コード
 ELSE IF 仕訳データ.借方:税区分コード = “交通機関マスタなどに紐づく税区分コード(軽減)” THEN
  “変更後の経過措置用の税区分コード(軽減)
 ELSE
  仕訳データ.借方:税区分コード
 END IF
ELSE
 仕訳データ.借方:税区分コード
END IF

※電車、バスなどでの移動を含む精算などにおいては、インボイスの発行義務がないことから、事業者登録番号欄を空白で申請するケースが多くなることが想定されます。

そのため上記計算式を設定する場合は、インボイスの保存が不要な取引の精算についてご注意ください。
詳細は、「事業者登録番号」の有無をキーに事業者に応じた税区分/フラグを出力する計算式を設定する場合の特例への対応方法を知りたいをご確認ください。

計算式のサンプルは以下よりダウンロードいただけます。

▼SAMPLE 4【インボイス対応】明細の「事業者登録番号」が空欄の場合に、経過措置用(免税事業者用)の税区分コードに変換する

 

注意

仕訳日などの日付をもとに経過措置の期間ごとに税区分コードを出し分けている場合、日付条件の修正が必要な可能性があります。併せてご確認ください。

 

計算式パターン②:申請画面上のフラグを計算式に活用する

【例】申請画面上に以下のような「非適格事業者チェック」という項目を作成した場合

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【実際の計算式イメージ】

IF 伝票データ. 非適格事業者チェック(明細)= “非適格” THEN
 IF 仕訳データ.借方:税区分コード = “交通機関マスタなどに紐づく税区分コード” THEN
  “変更後の経過措置用の税区分コード
 ELSE IF 仕訳データ.借方:税区分コード = “交通機関マスタなどに紐づく税区分コード(軽減)” THEN
  “変更後の経過措置用の税区分コード(軽減)
 ELSE
  仕訳データ.借方:税区分コード
 END IF
ELSE
 仕訳データ.借方:税区分コード
END IF

※チェックボックスの選択肢の名称に応じて、計算式も修正が必要です。

計算式のサンプルは以下よりダウンロードいただけます。

▼SAMPLE 5【インボイス対応】明細上に配置した「非適格事業者チェック」フラグが
「非適格」の場合に税区分コードを経過措置用の税区分コードに変換する

 

注意

仕訳日などの日付をもとに経過措置の期間ごとに税区分コードを出し分けている場合、日付の条件の修正が必要な可能性があります。併せてご確認ください。

 

パターンC:適格請求書発行事業者との取引かのフラグ情報により判別している場合

「適格請求書発行事業者」か否かのチェックボックスなどのフラグ情報のみで判別・出力しており、経過措置の割合ごとの税区分コードの出し分けが不要な場合は、原則として「楽楽精算」側の設定変更は不要の想定です。

補足

会計ソフト側が「仕訳日」や「免税/課税フラグ」から税区分コードの判定や消費税額を計算する仕様を想定しているため原則、「楽楽精算」の設定変更は不要となりますが、お使いの会計ソフトの受入仕様や運用によって異なる場合があります。必要に応じて、会計ソフト側の仕様をご確認ください。

 

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